鶏の巣

おすすめしたいものとか困った時の備忘録とかたまに書く。

初めての液晶ペンタブレット「XP-Pen Artist16」感想

私はたまに板タブで絵を描くタイプのインターネットお絵描きマンだった。過去形である。
何故過去形か?

そう。板タブマンから液タブマンにクラスチェンジしたからである。

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2017年12月、Amazonサイバーマンデーセールが開催された少し後に、中国の会社 XP-PenがArtist16、Artist22Eという2種類の液晶ペンタブレットをタイムセールしていた。

そのArtist16を買い、使ってみて少し経ったので、使用感や注意点などをまとめてみようと思う。
私のような板タブから中華液タブに乗り換えてみたい人の検討に少しでも役に立てれば嬉しい。

※注意

2018年6月現在、3月より同じページで上位版のArtist16Proが販売されている。
色域92%、筆圧感知レベルが8192と確実に上位互換のモデルとなっている。
ページがArtist16と同じなので、Artist16とArtist16Proのレビューが混在しているため、Proを買う人は注意。 

 

 

液晶ペンタブレットを買おうと思ったきっかけ

私は板タブ保持12年選手で、それなりにフルデジタルでイラストを描いたりもしていたが、どうにも板タブで線を引くのが苦手で、基本落書きはいつも紙でしていた。

何年か前にWacomの古い型ではあるが、液晶ペンタブレットを使って線画を描いたのだが、その時に板タブと比べてなんて線が引きやすいのだろうと感動。
しかし当時はまだ学生の身で、液タブと言えばめちゃくちゃ高いもの!ということで、いつか買えたらいいなあ程度でその時は終わった。

そして月日は経ち、相変わらず板タブで絵を描いたり仕事をしたりしていたのだが、やはりどうにも線画が、アナログで描くよりも圧倒的に時間がかかる。
液タブいいなあと思いつつ、ぼんやりとツイッターランドを眺めていたら、「中華製液タブが4万切ってたので買った」というRTを見た。

液晶ペンタブレットが4万円もせずに買える……!?

その時の衝撃は凄かった。

それから色々調べてみて、その話題の液タブが「GAOMON PD1560」と、その一つ前に話題に上っていた「XP-Pen Artist15.6」という機種だということが判明。

検討と、当時は売り切れなど色々あって、最終的に今回の「XP-Pen Artist16」を買うに至った。

 

「XP-Pen Artist16」を選んだ理由

何故、同じ会社の最新機種である「XP-Pen Artist15.6」にしなかったのか?というと、それにも少し理由がある。
まあ、一番はぶっちゃけてしまえばタイムセールでArtist15.6や「GAOMON PD1560」のお値段よりも安くなっていたからという理由なのだが。

Artist15.6は最新機種と言っても安いので、Artist16の元値41,999円以外にも機能面で比べると、削除されている機能もあるわけである。

  • スタンドが無くなっている(Artist16は自由な角度に調整できるスタンド付き)
  • エクスプレスキー が少なくなっている(Artist15.6:6個、Artist16:8個)

私にとって特筆するべきはこの2点。
特に角度をつけれるスタンドが私にはかなり重要だったので、安いし前モデルのこちらの方が良かった。

さらにサイズの問題がある。
小さいものは10インチ、大きいものは27インチくらいまであるらしい。
出来るなら小さいよりも大きい方がいいが、大きすぎると場所を取るし、線を引くにも、イラストソフトのツール切り替えをするにも腕のストロークを大きくする必要が出てくる。

私の場合はノートパソコンであること、元々パソコンの設置スペースにそれほど余裕が無いことから、15.6~16インチあたりを検討していた。
届いて実際に置いてみると、ノートパソコンの画面サイズより少しだけ小さい程度であったし、今使っているが、線画を描くのにも色を塗るのにも程よいサイズだったと思う。

 

板タブとの使い心地の差

これは気になる人が多いかも知れない。
しかし私が今まで使ってきた板タブはWacomFAVO CTE-440」FAVO CTE-640」というサイズ違いの、今ではサポートも終了した筆圧感知512の古(いにしえ)のペンタブレット

ワコム FAVO コミックパック CTE-440/W2

ワコム FAVO コミックパック CTE-440/W2

 

なので、一般に求められているような比較は出来ないと思われるので、そこは最初に素直に謝っておきたい。
検討の際、FAVOの筆圧感知512と比べたら2048も8192も違いすぎて何も分からないと思ったので最新機種ではなくてもいいかなと思ったのもあった)

とにかく私は液タブで線を引いたら、その引きやすさに感動した。
ささっと軽い落書きができる……!!
板タブではとにかく線が思ったとおりにささっと引けず、アナログの鉛筆と紙で描くような、気の向くまま思うまま描くような落書き、というのができなくて、大体いつも最終的には慎重に線を作っていた。

紙にお絵描きするのが長かった民は本当に導入を検討していいと思う。
あんなにしんどかったデジタル線画作業が楽しくなる。これはマジだ。 

ペン先の書き味については、今のWacom製品はどうなのかは実機で触っていないので分からないのだが、FAVOシリーズのペンは描画の際には特に沈み込みも何も無いが、Artist16のペンはペン先の沈み込みがある。
だが私はそれほど筆圧をかけないタイプなのもあるのか、使っているうちにすぐ慣れる程度の沈み込みだと感じた。
感覚的には数年前に流行ったクルトガというシャーペンのあの沈み込みの感じ。
学生だった当時はクルトガでノートを取っていたので、そのままクルトガを使ってノートの隅に落書きをしていたクチである。

近年のWacomペンタブレットはペン先の芯にも色んな種類があるというが、Artist16はFAVOシリーズと同じようなプラスチック製の芯のみ。
このあたりも私的に使っていてなかなか慣れないということが少ない部分だと思う。

あとは、液晶に向かってペンを走らせることで生まれる新たな問題、ペン先と画面上のマウスポインタとの視差だが、こちらはXP-Penのドライバで何回かキャリブレーションをして、あとは程よいところでペンの持ち方等に気を付けていれば気にならなくなっていくと思われる。
ペンの持ち方というのは、私のキャリブレーション時のペンの持ち方の所為なのか、それともペン自体のポインタの中心の取り方によるものなのか、どうにも画面の端の方が、寝かせてペンを持つとペン先からポインタがズレるようなのだ。
なので、画面の端や小さいバーなどをクリックする時はペンを立たせるようにするといいのだと思う。

 

突然のドライバ動かない問題と対策

ドライバのインストールもXP-Pen公式日本語サイトの最新のドライバをインストールし、モニターの設定も付属のクイックスタートガイドや公式サイトの説明書を見ながらすぐに出来た。

しかし、一度パソコンの電源を落としてまた起動した時、タスクバーに存在するはずのXP-Penのドライバのアイコンが透明になっており、エクスプレスキー も反応せず、時には筆圧感知も働かないなど、ドライバが上手く動いていないようだった。
結論から言うと、多分ペンタブレットのドライバである「WTClient.exe」の動きをセキュリティソフトが阻止していたのだと思う。

以下は私が行ってきた対策だ。

一度ドライバをアンインストールし、再起動の後再度ドライバをインストールするとタスクバーのアイコンが復活。
だがもう一度パソコンの電源を落として起動し直すとドライバのアイコンがまた透明に……。

この症状に関しては、XP-Pen公式サイトのサポートにも載っていた。

Artist16において、リブート後に筆圧が検知されなくなり、 タスクバーにタブレット設定アイコンも表示されなくなる不具合について-xp-pen

この通りにスタートアップにドライバを置いたが、筆圧が効かなくなることがまたあった。
なので、今度はArtist16のAmazonレビューに書いてあった、ペンタブレットのサービスを再起動する方法を試した。

https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/RYTDQAL75HCH9/ref=cm_cr_dp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=B06VWLJCH6

『タスクマネージャー』→『サービス』→『WinTab Service』→『サービスの停止』→『開始』(Win10の場合は『再起動』)を選ぶと復活します。(Windowsの場合)

取り敢えずこれでタスクバーのドライバも正常に表示され、ペンタブレットは復帰。
だが、パソコン起動後にCLIP STUDIO PAINTで描いていると、割とすぐにキャンバス内でポインタが反応しなくなる。

次に疑ったのはセキュリティソフト。
私はカスペルスキーを使っているのだが、ソフトの方で信頼するアプリケーションに、ペンタブレットのドライバである「WTClient.exe」を追加した。
そして再起動してみるとタスクバーのアイコンも問題無し。
今のところ起動後すぐにペンタブが反応しなくなることも無くなった。

だがパソコンを起動して暫くしてから液タブを繋ぐと、またタスクアイコンが消失したり、タスクアイコンは消えていなくてもCLIP STUDIO PAINTで描いていたら反応しなくなったりすることはあるが、サービスから「WinTab Service」を再起動すればCLIP STUDIO PAINTのウィンドウが選択されている場合のみペンが使えるようになる。
恐らくカスペルスキーとの相性が悪いのだと思われるのだが、現在はこのままで様子見しつつ、CLIP STUDIO PAINTで落書きしている。
症状が確定したらXP-PENのサポートに問い合わせてみようと思う。

《追記》
2018年8月3日、XP-PENサポート様と上記の症状についてメールでのやり取りを完了した。
結論から言えば、現状カスペルスキーWindows7用のドライバの相性が悪いらしく、別のウィルス対策ソフトに変えれば症状が改善されるかも知れないとのこと。
しかし当方の都合だが、別ソフトに変えるのが難しいため当分はこの状態で使っていくことになると思う。

 

 

画面の色合い問題

カラーで落書きしていてよく分かったのだが、ノートパソコン本体のモニターの色と液タブの画面の色がかなり違った。
私のノートパソコンの色による主観だが、主に黄~赤の色が違う色に見えやすい。
今まで描いたイラストと色々見比べてみたが、どうもこのArtist16は赤の色が彩度高めに強く出るようだ。

ichi-up.net

こちらの記事を参考にノートパソコンのモニターと液タブのモニターの両方とも、グラボの設定からモニタキャリブレーションを行ったのだが、ノートのモニターでは白から黒のグラデーションが綺麗に見えるのだが、液タブの方のモニターでは若干赤混じりのグレーがある。

ちなみにArtist16の色域は、Adobe RGB:74%。
Wacomの「Cintiq 13HD」の色域は、Adobe RGB:75%。
同じくWacomの「Cintiq 22HD / Cintiq 22HD touch」の色域はAdobe RGB:72%。
データ的には大差が無いので、キャリブレーション次第か、元々のモニターの傾向なのか……というところ。

もしかしたら根気よくキャリブレーションしていけば直せるのかも知れないが、取り敢えず見慣れたノートパソコンのモニターの色に合わせたいので、カラーを塗る時はCLIP STUDIOのナビゲーターウィンドウやサブウィンドウなどをノートのモニターに表示させて、ノートのモニターで色を見て調整しながら塗っている。

あと最近液タブ本体右側面のボタンから設定を見直したのだが、Color>Color Effect の設定を、「User」モードから「Photo」モードに変えてみた。
すると赤みがかっていた状態が少し抑えられ、PCモニターの色合いに少し近づいた。
「User」モードから先に進むと細かい設定が可能なので、恐らくそこから微調整をすればPCモニターの色合いにより近づけられるのだろうと思う。
しかし、調整にはかなり時間がかかると思われるので、今のところはPhotoモードへの変更だけにしておこうと思う。

 

他、購入の際の注意

コンセントが3Pプラグなので、3Pから2Pへの変換できるアダプタの同時購入がオススメ。
Amazonなら2,000円以上の商品との併せ買いで安く購入できる。

 

絵を描くこととは関係なく買って良かった事

ノートパソコンの大画面で動画を流しながら、液晶ペンタブレットでお絵描きができる。
そう、実質モニターが2台に増えたのである。
スタンドがかなり自由な角度にできるので、絵を描く以外にもスタンドで液タブを立たせてやればモニターとしても利用できるのだ。

ハングアウトやDiscordなどをしながら何か作業する民には、通話・チャット画面で画面を埋められずに快適な作業環境を手に入れることができる。大変お得である。

 

総括:買って良かった(大満足)

今までの板タブでの苦労は一体何だったんだと思うくらい、滅茶苦茶描きやすいし、効率も上がるし、良い事づくめだった。
私にとってはこの描きやすさと比べたら、相性問題によるサービスの再起動や色味の違いによる少しの手間なんて可愛いものである。

これから購入する人にアドバイスするとしたら、相性問題については実機を触りに行っても自分のパソコンと繋いでみないと分からないので、もし可能ならレンタルしてみた方がいい。
あと液タブのサイズについてはよく分からなければ色々な大きさを実機で触って確認し、作業スペースと要相談するといいと思う。